開館30周年記念 辰野登恵子展
辰野登恵子は1950年に長野県岡谷市に生まれ、東京藝術大学に進んだ後、
1970年代にドット(点)やグリッド(格子)、ストライプなどの規則的な
パターンを用いた版画を発表し、若くして注目を集めました。
ほどなくして表現を油絵に移すと、それまでの理知的で抑制された表現とは対照的に、
豊かな色彩で有機的な形象のある絵画空間を追い求め、
2014年に亡くなるまで、自らの作品世界を深化させ続けました。
本展では版画やドローイングなど紙の上の表現に光を当て、
高く評価された大型の油絵にとどまらず、辰野の画業を再検証します。
初期のシルクスクリーンによるコンセプチュアルな作品だけでなく、
油絵の制作を本格的に始めてからも、彼女はそれと平行して
エッチングや木版、リトグラフなどさまざまな版種による版画制作に取り組んできました。
油絵での試みを版画で追体験する、あるいは版の仕事での成果を油絵に
反映させるなどの往還によって、創作の幅や深みを増して行ったことがみてとれます。
また、油絵具やパステルによる大型のドローイングは、単なる下絵の域を超え、
画家にとって重要な実験の場となっていたこともうかがえます。
これまでまとまった展観の機会が限られてきた紙の仕事を中心に、
油絵30点を含む約220点の作品を紹介する本展は、
画家・辰野登恵子の40年余りにわたる軌跡に新たな視座を与えてくれるはずです。
【イベント名】 名古屋市美術館開館30周年記念
辰野登恵子 ON PAPERS : A Retrospective 1969-2012
【会場】 名古屋市美術館
【開催日程】 2/16(土)~3/31(日)
【開催時間】 9:30~17:00
※入場は閉場の30分前まで
※金曜日は20:00まで
【休館日】 毎週月曜日
【料金】 一般:1,200円(前売り:1,000円)
高大生:900円(前売り:700円)
※中学生以下入場無料
【主催】 名古屋市美術館、中日新聞社
【後援】 愛知県・岐阜県各教育委員会、名古屋市立小中学校PTA協議会
【協力】 名古屋市交通局