南米コロンビアの美術家、フェルナンド・ボテロ(1932–)。彼の手にかかると、楽器や果物、さらにはあのモナ・リザさえも、ボリュームのある形になって現れます。その独特な形態や色彩は、さまざまな感覚を呼び起こし、見る人を惹きつけてやみません。日本では26年ぶりとなる今回の大規模な絵画展では、ボテロ監修のもと、初期から近年までの油彩・水彩・素描など70点を紹介し、いまも制作を続ける彼の画業をたどります。ボテロがかける「魔法」を、ぜひ体感してください。
モナ・リザの横顔、世界初公開
フェルナンド・ボテロ《モナ・リザの横顔》 2020年 油彩/カンヴァス 136 x 100 cm
フェルナンド・ボテロが世界に注目されるきっかけとなったのは、1963年、ニューヨークのメトロポリタン美術館でレオナルド・ダ・ヴィンチの《モナ・リザ》が展覧されたとき、ボテロの《12歳のモナ・リザ》がニューヨーク近代美術館(MoMA)のエントランス・ホールに展示されたことです。一夜にして、ボテロの名前はニューヨーク中に知れ渡りました。「モナ・リザ」はボテロが描き続けているテーマの一つで、本展では2020年制作の《モナ・リザの横顔》が世界初公開されます。90歳を迎えた今もなお、美術家として探求し続ける気迫の伝わる一枚です。
国内では26年ぶりの大規模展
フェルナンド・ボテロ《コロンビアの聖母》 1992年 油彩/カンヴァス 230 x 192 cm
世界各国で空前のヒットとなっているフェルナンド・ボテロの展覧会ですが、本展は、1995-96年の巡回展以降、実に26年ぶりに日本国内で開催される大規模絵画展となります。ボテロ本人の監修により、初期から近年までの油彩ならびに水彩・素描作品など全70点で構成される本展は、展示作品のほとんどが日本初公開という注目のラインナップです。初めてボテロ作品に触れる方にも、ボテロファンにとっても、新たな発見のある展覧会となるでしょう。
フェルナンド・ボテロ《象》 2007年 油彩/カンヴァス 112 x 84 cm
フェルナンド・ボテロ《楽器》 1998年 油彩/カンヴァス 133 x 172 cm
フェルナンド・ボテロ《泣く女》 1949年 水彩/紙 56 x 43 cm
フェルナンド・ボテロ
パリのアトリエにて ※写真内の2作品は出展されません。
南米コロンビア生まれの芸術家フェルナンド・ボテロ(1932-)。1950年代後半から注目を浴び始め、今日では現代を代表する美術家の一人に数えられています。
彼の手にかかると、楽器や果物、動物、さらにはあのモナ・リザさえもが、丸くふくよかな姿となって現れます。ボテロ作品のふくらみが持つ形の豊かさは、「観る者を突き動かすような官能を伝える」というボテロの言葉通り、ユーモアやアイロニーなどさまざまな要素を絡めつつ、生の喜びを湧き上がらせてくれるような魅力を持っています。
一度見たら忘れられなくなるボテロ・スタイル誕生のきっかけは、ボテロ24歳のとき。ある日、マンドリンを描こうとしたボテロは、楽器の音響孔を、実際よりも小さく、黒い点のように描き入れました。すると、その小さな孔との対比によって、マンドリンの丸いボリューム感がより際立って表れてくるのに気づきました。ボテロは、この不意に生まれた造形の豊かさに芸術的な美を見出したのです。
くわしくは公式サイトをご覧ください。
■展覧会名:ボテロ展 ふくよかな魔法
■会期:2022年7月16日(土曜日)から9月25日(日曜日)
■開館時間:午前9時30分〜午後5時
※9月23日を除く金曜日は午後8時まで
(いずれも入場は閉館の30分前まで)
■休館日:毎週月曜日
(7月18日・8月15日・9月19日は開館)、7月19日(火曜日)、9月20日(火曜日)
■主催:名古屋市教育委員会・名古屋市美術館、中京テレビ放送
■後援:コロンビア共和国大使館、名古屋市立小中学校PTA協議会
■協賛:光村印刷
■協力:ルフトハンザ カーゴ AG、日本通運、名古屋市交通局企画
■協力:NTVヨーロッパ